怖いもの日和

本日、5月6日。
午前2時頃千葉の東京湾沿いを進言とする地震がありました。
朝は少し肌寒さを感じる曇りスタート。
午前中から雨が降りだし昼前には小規模ながらも雷雨となりました。
そして夜になると藍瑠地方は激しい雷雨…
藍瑠さんは地震も雷も嫌いです。
夜の雷雨ではちびってしまいました。(恐れによる排尿)
とんだステイホームです…

雷を怖がる犬は少なくないのではないでしょうか。

藍瑠さんは雷を含めて環境馴致のための音育しましたが、継続した音育も藍瑠さんが怖いと感じた瞬間に意味をなくしました。
近所への落雷の、その瞬間の音、光、振動はどんな音育でも再現しようがないからです。

この時も、自分の耳に雷鳴は聞こえていませんが、藍瑠さんは耳を頻繁に動かしながら不安げに外を見つめています。

人の可聴域は16Hz〜20,000Hzくらい
犬のの可聴域は40Hz〜65,000Hzくらい

音に対する感受性は犬種や個体によって差はありますが、犬のセンサーにかかる方が早いでしょう。

さて、藍瑠さんのように怖がっている犬に対してどういった接し方をするのが良いのでしょうか?

多くの方は恐怖心を和らげてあげたいと思い、小型犬なら抱き上げて大丈夫だよと声をかけたり撫でて安心させようとするのではないでしょうか。

藍瑠さんはまだ抱き上げることもできますが、シェパードのような大型犬だったらどうしましょうか?

小型犬であれ大型犬であれ同じ犬です。

人は見かけの大きさと成熟さを結びつけやすいように思えますが、身長180cmの10歳児がいたとしても成人の対応を求めるわけにいきません。
中身は10歳の子供にすぎないからです。

体の大きさにかかわらず中身は同じ犬です。
ですが、物理的には小型犬と大型犬で同じ対応はできません。
恐怖状態の大型犬を大丈夫だよと抱きかかえることなど不可能だからです。
そのようなとき、逃げようと暴れられたらリードがついていようとも振り切られてしまうかもしれません。

花火大会で迷子の犬が出るのはまさにこの図式です。
ボーダー・コリーを含めた牧羊犬のグループは音に対してセンシティブな個体が少なくないのでより注意が必要です。

藍瑠さんの場合は、一も二もなく自分のところに駆け寄ってきます。

ここで、行動学ベースのドッグトレーナーとして何に気をつけて藍瑠さんに対応しているのか示しましょう。

トレーナー以前に、人が取る行動として一番重要なのは落ち着いた対応を心がけることです。

相手を落ち着かせるという効果のほどはともかく、慌てて不用意に鳴らしてしまった音と雷の恐怖が結びつき、雷とは関係ないときでも不用意に鳴らしてしまった音に恐怖するようになるなんてことがあるからです。
それが歩行時のスリッパの音なんてことになったら大変です。(古典的条件付け)

行動学の学問的な考え方としては、恐怖している犬に対して安心させようとしたり気づかったり注目したりすると、そのことが報酬となり問題を悪化させるというような数式的な考え方があることに驚いたりもするのですが、雷のような強い恐怖をもたらす強い刺激に対しては積極的に安心させる行動をとった方が良いというのが自分の考え方です。(拮抗条件付け)

一般的に犬は体を拘束されることを好みません。
怖くて逃げだしたくて仕方がないのに抱っこされて体の自由が効かなくなれば、どうにかして逃げだそうと実力行使もありえます。

さらには怖いという感情に抱っこという嫌な刺激が加わり、嫌がらなかった抱っこを嫌がるようになるかもしれません。(古典的条件付け)

なので藍瑠さんについては、そばにくれば藍瑠さん自身が安心できると感じてもらえるような状況を積極的に作っています。

基本的には藍瑠さんの気持ちに任せ、落ちつかせる対応はしても拘束したりするようなことはしません。
そんなときでもトリーツが食べられるので惜しまずあげます。(拮抗条件付け)

自分の口元を舐める藍瑠さんも膝の上であごをのせている藍瑠さんもただ甘えているのではありません。
そうすることで恐怖の感情が和らぐのです。(拮抗条件付け)

つまり、今後とも自分のところに来ることでより安心してもらうには、この場で嫌な気持ちを上乗せさせないことが大切です。(古典的条件付け+オペラント条件付け)

今回のうような条件に限れば基本的にはこれまで述べたようなスタンスを柱としますが、犬種、性別、年齢、その他諸々の環境で対応の仕方は異なります。

いずれであっても、情動に生きる犬のココロと正面から向き合います。