ステップアップ日和

本日、6月21日の藍瑠地方はくもりのち雨。
最低気温20度、最高気温は25度。
湿度60%前後で日が落ちるまではかなり過ごしやすい1日でした。

ピンポンハウスのステップアップ編です。
今回はピンポン♪でハウスに入ることを理解しているのかをまずは評価します。
藍瑠さんはほぼ予想通りの行動をしてくれました。
動画001・右初回:まずはいつもの場所にハウスがなくていぬらぼのところにお伺いにきましたw
いつもとちがうんですけど???ってなとこでしょうか?
それにしても踵を返すのが早すぎですw
当然ご褒美はあげられません。

動画002・右2回目:じゃあ場所かな?というような感じで藍瑠さんはいつもハウスのある場所にいって「オスワリ」をしました。
藍瑠さんなりに考えていますが、迷いが行動にあらわれています。
残念ながらご褒美はあげられません。

動画003・右3回目:どうやったらご褒美をもらえるのか、藍瑠さんは考えます。
ハウスが目に前にある…けど、やっぱり場所かな?ということでいつもハウスのある場所にいって今度は「フセ」ました。
最後の「フセ」が足りないからご褒美がもらえないという結論にいたったようです。(プチ消去バースト)
カワイイですねw
これで藍瑠さんは、ピンポンと場所が強く結びついていることが分かります。(ここに来ればトリーツもらえるはず!)

動画004・右6回目:3回目までノーヒントでしたが、この後ピンポンからのハウスのキューを1回入れて、もう1回念のためシェーディングした後はハウスに入れました。

動画005・左4回目:右と似たような手続きをして4回目にはピンポン♪でハウスに入りました。

引き続き、位置を変えてトレーニングをしていきます。
ピンポン♪の音でおこなうのはハウスであることをより理解させるためです。

藍瑠さんの行動の変遷は、犬がどのような学習をしているのかがわかる好例です。

犬に新しい行動を教えるときは、オペラント条件付けの正の強化といわれる手続きをとります。
行動学を主軸とするトレーナーであれば多くの場合正の強化のための強化子にはトリーツを使うことでしょう。
藍瑠さんのピンポンハウスの強化子にもトリーツを使ってます。

ところが、行動が増えたこと(正の強化)と、犬がキューでとるべき行動を正しく理解しているかどうかは別問題だったりします。

藍瑠さんはこれまでピンポンハウスができていましたが、ハウスの場所を変えただけでハウスに入ることができなくなりました。
藍瑠さんは、ハウスといえば、どこにあってもハウスしますが、ピンポンハウスの場合そのレベルには至っていないのです。

ここで押さえおくべきポイントがあります。
それは「環境」です。

行動学では動物の行動とその学習を、
刺激→行動→結果
という三項随伴性というものを主軸にして考えます。

ピンポンハウスを例にすると、
ピンポン(刺激)→ハウス(行動)→トリーツ(結果)
になります。
トリーツが強化子として働いている場合、ハウスに入る頻度が増えます。
この行動が増えるという手続きができた場合のことを正の強化といいます。
トリーツをあげたから正の強化になるわけではないという点については留意する必要があります。

そして「環境」です。
家ではできるのに外ではできないという感想を抱く飼い主さんは少なくないと思います。
これこそがまさに「環境」です。

人にとっては同じキューでも、犬にとっては「環境」が変われば必ずしも同じ行動をとれるわけではないということなのです。

この「環境」までを含めて四項随伴性といういい方をします。
環境ーーーーーーーー
| 刺激→行動→結果 |
ーーーーーーーーーー
「環境」は、刺激にも行動にも結果にも大きな影響を与えているのです。

藍瑠さんは、まさにハウスの位置という「環境」が変わってしまっために、それまでできていたピンポンハウスがができなくなってしまいました。
全く新しいことを教えているわけではないので少ない手続きでピンポンハウスができるようになりますが、ハウスの位置がどこにあってもできるようになってはじめてキューによってとるべき行動を理解したと言えるのです。

ピンポンハウスについてはそこまでの刺激性制御が必要かということになれば、一般家庭ではその必要があるとはいぬらぼも思いませんが、日頃やってほしいことほど「環境」の違いによる犬の行動の違いには気をつけなけらばなりません。

環境に犬が対応できていない状態でトレーニングを続けても、学習効果は上がらないどころかキューに対して行動しなくても良いという学習(無関係性の学習や部分強化消去効果、負の強化など)が成立してしまうので、求める行動をとらせることが難しくなってしまいます。

そのため、特に新しい学習をさせる場合などは環境設定がとても重要になります。
そして、ある特定の「環境」でできたからといって、どんな「環境」でもできるとは思わないことが肝心です。

犬と人では「環境」に対する感受性がちがうのです。
どんなことも少しずつレベルを上げて、できる場所を増やしていきたいものです。